【兪府】胸の緊張と上半身の巡りを整える、気血の出口となるツボ

兪府（ゆふ）とは

兪府（ゆふ）は、鎖骨のすぐ下、胸の上部、鎖骨の内端から外側へ指1本分ほどの位置にあるツボです。

左右対称にあり、胸の張りやすい場所に位置することから、呼吸や上半身のめぐりに関係する重要なポイントです。

このツボは手の太陰肺経に属し、「兪」は気の出入りを表し、「府」は集まる場所を意味しています。

つまり、肺や気の働きが集まり発散する“出口”としての役割を担うツボとされています。

兪府は、胸のつかえ、呼吸の浅さ、咳、肩や胸のこわばりなどに対して効果があります。

特にストレスや緊張による胸部の圧迫感や、深く息が吸えないといった症状の緩和に用いられます。

また、乳腺のはりや胸まわりのリンパの流れが滞っているときにも活用され、女性のケアにも適したツボです。

兪府を刺激することで、胸部や肺の気の流れが整い、呼吸が深くなりやすくなります。

また、肩や鎖骨まわりのこわばりがほぐれ、姿勢の改善やリラックス効果も期待されます。

さらに、上半身のめぐりが整うことで、顔色のくすみや疲れ感の軽減といった美容的効果も報告されています。

兪府は胸骨や鎖骨の近くにあるデリケートな部位のため、押しすぎや強い刺激は避けてください。

痛みやしびれを感じた場合はすぐに中止し、軽いタッチや温める程度の穏やかなケアが推奨されます。

心臓や肺の疾患をお持ちの方、また術後の方は、医師や専門家の確認を得てからの使用が安全です。

ストレスや疲労で呼吸が浅くなっていると感じたとき、両手の中指を使って優しく兪府に触れてみてください。

3秒押してゆっくり離す、という動作を3〜5回繰り返すことで、胸の緊張がほぐれ、自然と深呼吸しやすくなります。

お風呂上がりや、ヨガ・ストレッチ前後に取り入れると、姿勢と気持ちのバランスが整いやすくなります。

兪府が位置するエリアは、大胸筋・鎖骨下筋・リンパ節の密集地帯であり、呼吸・循環・筋肉バランスに大きく関わる場所です。

この部位をやさしく刺激することで、胸郭の可動性が向上し、呼吸が深くなる、交感神経の過緊張が緩和されるといった効果が認められています。

また、乳腺・リンパの流れにも影響を与えることから、女性特有の不調のケアにも適したツボとして注目されています。