【殷門】坐骨神経と腰の痛みに働きかける太ももの要ツボ

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殷門(いんもん)とは
殷門は、足の太陽膀胱経に属する経穴で、大腿後面の中央、殿溝(お尻のしわ)から下へ約6寸、太ももの裏側の真ん中に位置する。
「殷」は“豊かに集まる”、「門」は“出入口”を意味し、膀胱経の気血が滞留しやすい要所であり、坐骨神経が走る経路の中心点とされている。
下肢への神経や血流が通るルートの中でも特に**腰から脚へとつながる“中継ポイント”**として古くから重視されてきた。
効果と応用
殷門は、坐骨神経痛、腰痛、下肢のしびれ、太もも裏の張り、歩行時の違和感や足の重だるさなどに用いられる。
特に、お尻から太もも裏、ふくらはぎまでにかけて放散するような痛みやしびれを感じるケースに対し、反応の出やすいツボである。
また、長時間の立ち仕事・歩きすぎ・スポーツによる太ももの疲労にも応用されることが多い。
主な効果
殷門の刺激により、坐骨神経を取り巻く筋肉の緊張がゆるみ、腰から脚へかけての巡りが回復しやすくなる。
とくに、お尻〜太もも裏にかけてズーンとした痛みや突っ張り感がある人には効果的。
また、膀胱経上にあることから、腰〜下肢のエネルギーラインの滞りを調整し、疲労感やしびれの緩和にもつながる。
注意点
深層に坐骨神経が通っているため、強い圧や長時間の押圧は神経を刺激しすぎて逆効果になる場合がある。
セルフケアでは、じんわり温めたり、ストレッチや呼吸に合わせた軽いタッピング程度の刺激が適している。
強いしびれや痛みがある場合は、無理に刺激せず、まずは専門医の診察を受けることが基本。
日常生活での活用法
長時間座りっぱなしで腰や脚がしびれるときは、太もも裏の中央を手のひらでやさしくさすって緊張をゆるめるのが効果的。
また、お風呂上がりに大腿裏全体を蒸しタオルで包むように温めながらストレッチを行うことで、殷門を自然にほぐすことができる。
椅子に座ったまま足を前に出して軽く前屈しながら呼吸を整えるのも、このエリアの緊張を緩めるセルフケアとなる。
現代医学からの評価
殷門の部位は、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋などのハムストリングス筋群の上にあり、深部には坐骨神経が通る。
現代医学でも、坐骨神経痛のリリースポイント、梨状筋症候群や椎間板ヘルニアの関連部位として施術対象とされることが多い。
また、ハムストリングスの過緊張が骨盤や腰椎への負担を増加させることから、腰痛対策の重要な筋膜調整点としても注目されている。