【陰都】陰気が集まる腹部の要穴ツボ

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陰都(いんと)とは
陰都(いんと)は、足の少陰腎経に属する経穴であり、上腹部、臍の上4寸、前正中線のそば0.5寸外方に位置するツボです。
「陰」は陰気、「都」は集まる場所を意味し、ここに陰気が集中することから陰都という名称が与えられました。
また、陰都は奇経八脈のひとつである「衝脈」との交会穴でもあり、単なる腎経の一部にとどまらず、全身の経絡と深く関わる重要な要所として認識されています。
効果と応用
陰都は、主に胃腸の不調や腹部の停滞感に対して用いられるツボです。
衝脈の交会穴として、気・血・水が上腹部に滞った際の症状を整える働きがあるとされています。
とくに、胃の痛み、腹部の膨満、腸鳴、便秘、嘔吐など、消化器系のトラブルに幅広く対応し、さらに不妊や婦人科系の症状、気管支炎や肺気腫などの呼吸器系の補助的ケアにも用いられることがあります。
主な効果
陰都は、以下のような症状に対して有効とされています。
胃の痞えや痛み、腹部の張り、消化不良、便秘、腸の蠕動亢進による音(腸鳴)
これらに加えて、衝脈との関わりから、女性の生殖機能に関わる不調や不妊、さらには内臓の冷えによる虚弱体質の改善を図るための補助的な施術点としても使用されます。
また、腹部の張りと呼吸の浅さが連動しているようなケースでは、胸腹間の気の通りを整える意図で陰都が用いられることもあります。
注意点
陰都は内臓のある腹部深層に近い部位であり、位置的には胃や小腸に近接するため、深部への強い刺激は避けなければなりません。
また、妊娠中の方や消化器疾患を抱える方に対しては、使用の可否について必ず専門家の判断を仰ぐ必要があります。
強い腹痛や急激な腹部症状がある場合には、まずは医療機関での診察を優先すべきです。
日常生活での活用法
陰都は、比較的触れやすい部位にあるものの、自分で押す際はごく軽い圧で、腹部をゆっくり温めるように刺激するのが基本です。
入浴後や食後を避けたリラックスタイムに、両手で腹部を温めるように包み込むと、陰都を含む周囲の経絡が穏やかに整いやすくなります。
また、冷えによって胃腸が動きにくくなる体質の方は、陰都を中心に腹部を温めるケアを継続することで、消化器機能の改善が期待できます。
現代医学からの評価
現代医学においても、腹部の自律神経や消化器へのリラクゼーション効果を目的としたツボ刺激が一定の評価を得ており、陰都のような部位の調整が腸の動きを整えたり、内臓の血流を改善する可能性が示唆されています。
また、衝脈との関係から、陰都は生殖・消化・循環という広範な生理機能にかかわるルート上にあるため、全身的なバランスを調整する意図での活用が臨床でも行われています。