【本神】精神の安定と頭の巡りを導く額のツボ

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本神(ほんじん)とは
本神は、足の少陽胆経に属する経穴で、前額部の髪の生え際から後方へ0.5寸(指1本分弱)、正中線(額の中央)から約3寸(指約4本分)外側の位置にあります。
「本」は根本、「神」は精神や気の働きを意味します。つまり本神とは、精神の根源に作用し、気の巡りと意識を調える場所であることからその名がつけられています。
このツボは、胆経が頭部に到達する始まりの経穴のひとつであり、頭痛や精神的な疲労、集中力の低下などに対して効果的なポイントとされています。
効果と応用
本神は、前頭部の頭痛、精神的緊張、不眠、思考の過多、目の疲れ、のぼせ、集中力の低下、情緒不安定などに対して用いられます。
特に、気が上昇しやすい体質やストレスによって頭に血がのぼりやすいタイプの不調に対し、額のこのツボから気の流れを静めることで、精神の安定が期待されます。
また、自律神経の乱れや疲れすぎによるイライラ・不眠といった症状に対しても応用されるツボです。
主な効果
本神に期待される主な効果は、前額部の頭痛の緩和、精神の安定、不眠の改善、集中力の向上、目の奥の重さの軽減、のぼせ・ほてりの沈静化などです。
とくに、精神的に疲れているのに頭が冴えて眠れない、焦りや不安がつのるといった状態において、本神は心と頭の気の通りを穏やかに整える役割を果たします。
また、感情の高ぶりが身体に影響を与えるようなタイプの不調にも本神を含む前頭部のツボ群が効果を発揮します。
注意点
本神は髪の生え際にあるため、髪の毛をかき分けるようにして場所を確認し、強すぎない圧で触れるのが基本です。
神経や血管も比較的浅く走行している部位のため、無理に押し込まず、円を描くように優しくなでるマッサージが適しています。
また、発熱や急性の頭痛がある場合は、ツボ刺激を控え、まずは医療機関での受診を優先しましょう。
日常生活での活用法
本神はセルフケアにも適しており、両手の中指や薬指を使って、前頭部の生え際から少し外側を軽く押しながらマッサージする方法がおすすめです。
入浴後や就寝前など、リラックスした状態で、深呼吸をしながら頭皮を動かすようにやさしく刺激すると、精神の落ち着きが得られやすくなります。
また、スマートフォンやパソコン作業で目が疲れたときに、額からこめかみにかけてのラインを温めるケアとしても有効です。
現代医学からの評価
本神の周辺には、浅側頭動脈の分枝、顔面神経や三叉神経の末梢枝が分布しており、このエリアへの軽い刺激は、頭部の血行促進、筋緊張の緩和、自律神経の安定化に寄与すると考えられています。
鍼灸や手技療法では、精神的不安、不眠、集中力低下、緊張型頭痛、眼精疲労などの補助療法として、本神を含む前額部のツボが広く活用されています。
東洋医学では、本神は精神活動を統括する「神」に直接作用するツボとされ、感情と身体のバランスを整える重要な経穴として重視されています。