【陰包】内ももの緊張をほどく深層のツボ

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陰包(いんぽう)とは
陰包は、足の厥陰肝経に属する経穴で、大腿の内側、恥骨のすぐ下から指4本分下あたりの位置にある。
「陰」は身体の内側を、「包」は包み込むことを意味し、陰部や骨盤内を守るように巡る気血の流れを整えるポイントとされる。
とくに、婦人科・泌尿器・下腹部の緊張や冷えに関連する症状に対して重視されてきたツボである。
効果と応用
陰包は、月経不順、生理痛、下腹部の冷え、膀胱の不調といった症状に応用される。
また、股関節の動かしにくさや内ももの張り、脚のだるさにも効果があるとされ、骨盤と下肢の巡りをつなぐ要所として活用されている。
肝経を通じた自律神経系の調整を目的に、ストレスや怒りによる下腹部の違和感にも使われることがある。
主な効果
陰包の刺激は、骨盤内の血流を促し、内もも周囲の筋緊張をやわらげる効果がある。
婦人科系の不調のほか、男性においても睾丸周囲の違和感や泌尿器系の不調に使われるケースがある。
また、脚の内側ラインが硬くなっているとき、歩行がぎこちなく感じる場合にも、巡りの改善が期待される。
注意点
デリケートな部位に近いため、セルフケアでは無理な刺激や強い圧迫は避けることが前提。
大腿動脈や神経の走行ラインとも重なるため、違和感が出た場合はすぐに刺激をやめるようにする。
無理に押さず、温めたり周囲をやさしくなでる程度のケアが安全かつ効果的。
日常生活での活用法
入浴後に、脚のつけ根から内ももにかけて手のひらでじんわり温めるだけでも十分。
骨盤を立てた正しい座り姿勢を意識することで、この部位への負担が軽減され、自然な血流改善にもつながる。
また、あぐらや内ももストレッチを取り入れることで、間接的に陰包を緩める動きが促される。
現代医学からの評価
陰包の部位は、内転筋群・大腿動脈・陰部神経などが交差する重要なゾーンであり、泌尿器や骨盤内臓器への循環と神経伝達に関わるエリアとされる。
現代の骨盤底筋リハビリや婦人科・泌尿器の物理療法においても、このエリアの緊張緩和や血流改善が治療方針に組み込まれることがある。
内臓の働きと筋骨格バランスの両方を支えるツボとして、東西医学の共通点を持つ注目ポイント。