【齦交】口内と歯ぐきの不調を整える口腔の要ツボ

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齦交(ぎんこう)とは
齦交は、任脈に属する経穴で、上唇の裏側、上の歯ぐきと上唇粘膜の境界部(正中)に位置する。
「齦」は“歯ぐき”、「交」は“交わる・通じる”を意味し、口内の気血が集まって交わる場所として、歯と唇の健康を支えるツボとされている。
任脈の終点にあたるこのツボは、顔面の下部、特に口腔内の調整や急な出血、顔面麻痺などへの対応点として活用されてきた。
効果と応用
齦交は、歯ぐきの腫れ・出血、口内炎、口臭、歯のぐらつき、口周りの熱感や乾燥、顔面神経麻痺、鼻血、口の渇きなどに用いられる。
また、上唇や歯ぐきの内側に熱がこもるような感覚があるとき、東洋医学でいう“上焦の実熱”を抜くためのポイントとしても知られている。
顔面部の局所治療だけでなく、任脈全体のエネルギーの出口として、全身の調整の締めくくりにも活用される。
主な効果
齦交の刺激により、口腔内の気血の流れが整い、歯ぐきや唇の不快感がやわらぐとされる。
とくに、歯ぐきの熱感・腫れ・出血、口臭や口内の違和感があるときに反応が出やすい。
また、口の内側にこもった気が抜けることで、イライラや顔面のほてり、喉の渇きなどの熱症状にも穏やかに作用する。
注意点
粘膜部に位置するため、直接的な指圧や刺激は避け、清潔な綿棒などでごく軽く触れる程度にとどめるのが基本。
出血しやすい人や、歯周病などで炎症が強い場合は、自己処置は避け、歯科や鍼灸師など専門家の判断を優先すること。
口腔内は細菌が多いため、衛生環境を整えてから刺激を行うのが大前提。
日常生活での活用法
歯ぐきの腫れや熱感が気になるときは、上唇の裏側を舌でやさしく押すように刺激したり、冷たい水で口をゆすぐケアが有効。
また、唇の乾燥や口臭が気になるときには、舌先で齦交付近を円を描くようにゆっくりなぞるセルフケアもおすすめ。
普段から唇まわりをやさしくマッサージしたり、顔の下半分をリラックスさせる表情筋体操と組み合わせると効果的。
現代医学からの評価
齦交の部位は、上顎歯肉・口輪筋・上顎神経・上唇動静脈などと関係し、歯肉炎・口内炎・口臭・顔面の感覚異常などの反応点と重なる。
また、顔面神経麻痺のリハビリや、歯肉から上唇にかけての血流改善を目的とした鍼灸刺激でも利用されることがある。
自律神経が乱れたときに口内が乾く・ほてる・熱を持つといった症状に対するケアポイントとしても注目されている。